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先天性心疾患治療について

はじめに

「一緒に力を合わせてこの難局を乗り越えましょう。」手術説明の際に私がご両親にかける言葉です。心臓病のこどもは100人に1人の頻度で生まれ、そのうち8割のこどもに手術治療が必要とされています。思ったより多いと思いませんか?これまで当院で多くのこどもたちが心臓手術を受け、笑顔で元気に退院していきました。しかし、ほとんどの家族にとって、愛する我が子の心臓手術は初めての経験であり、手術に向けての不安は言葉では言い表せないほどでしょう。心臓手術は、ホクロの切除や、まぶたを二重にするような手術とは一線を画します。生命に係わる手術なのです。不安を取り除き、少しでも家族の気持ちに寄り添った治療を行いたい。ご両親と私たち医療者は病気と戦う同士なのです。我が子を治療するつもりで、全力で治療に望みます。冒頭のことばはその気持ちの現れです。今の難局を乗り越えれば未来が拓けます。さあ顔を上げて、勇気を持って一緒に頑張りましょう。

講師 若松大樹 医学博士

Hiroki Wakamatsu, MD, PhD

栃木県立栃木高校卒

平成11年 福島県立医科大学医学部卒

外科専門医

心臓血管外科専門医

心臓血管外科修練指導者

心臓血管外科国際会員

 

当科での治療対象心疾患

  1. 心房中隔欠損症
  2. 心室中隔欠損症
  3. 動脈管開存症
  4. ファロー四徴症
  5. 房室中隔欠損症
  6. 大動脈縮窄症
  7. 大動脈離断症
  8. 両大血管右室起始症
  9. 大血管転位症
  10. 総肺静脈還流異常症
  11. 三尖弁閉鎖症
  12. 単心室症
  13. 成人先天性心疾患
  14. その他

 

診療について

心臓病を抱えたこども達は県内各地から当院に集まってきます。そのため多岐にわたる疾患に対して、幅広い治療が求められます。東日本大震災の年に手術件数の減少がありましたが、最近は増加傾向にあります。当院にはNICU(新生児集中治療室),PICU(小児集中治療室)があり、新生児や乳児の手術割合が多い特徴があります。成人期に達した先天性心疾患に対する外科治療も行っています。手術症例数や、手術内容にも若干の違いがあるため単純な比較は困難ですが、全国成績に比べても良好な治療成績を収めています。

 

①手術症例数の変遷

2006~2018年まで 当院の先天性心疾患の総手術件数 829例

手術死亡17例 (2.05%)

全国平均 先天性心疾患の手術死亡率2.7%

 

②手術患者のうちわけ(新生児、乳児、幼児)

   当院2006-2018年            全国平均

 

③術後

手術直後はICU(集中治療室)に入室し、全身管理を行います。

状態が安定すれば、PICU(小児集中治療室)や一般病床へ移動します。

PICU(小児集中治療室)

                 

    小児科病棟 プレイルーム              学習室

手術当日はご家族も待機していただくことがあります。

その場合は、近隣のパンダハウス(病と闘うこどもと家族のサポートハウス)や、福島県青少年会館での宿泊を案内させていただいております。

 

④術後創部について

心臓の手術後は、胸の真中や側部に傷が残ります。

でも決して恥ずかしがることはありません。

前を向いて胸を張りましょう。

この傷はこどもがご両親とともに命をかけて勇敢に闘った証なのですから。

 

その上で・・・

創部縫合は埋没縫合法(抜糸が不必要)を行い、術後はテーピング治療をおこなうことにより創部は以前に比べて目立たなくなりました。しかし、心臓手術後に、創部(胸骨)が膨隆するといったことがしばしば起こります。膨隆しない場合も有り、術直後に見分けることは難しいです。複数回に及ぶ手術の術後や、術前の心拡大が強かった場合などに膨隆してくる傾向があります。胸骨変形防止プロテクターは、術後に装着することで胸骨が膨隆するのを防ぐとともに、創部の保護も果たします。当院では2008年から導入しています。

患者さんごとに計測を行い発注します。装用の目安期間は半年間です。

当院で胸骨変形防止プロテクターを装用した家族へのアンケート結果です。

感想

  • 術後はとくに創部への対応が不安だったので少し安心感がありました。
  • 見ていてよくわかるくらい引っ込んだ。
  • 傷口が守られて安心する。同年代の子供と遊んでいても安心する。
  • 男の子は動きが激しく、傷口を守るためにはむしろ必要だとおもう。
  • 安心しておんぶができてよかった。
  • 創部の保護が出来たので安心しました。
  • 胸の部分があたっても安心する。何かついているだけで安心する。
  • 装着時に外見からわかりにくくコンパクトであればよいと思いました。
  • 薄着の季節はヒトの目が気になりました。
  • 知らない人もいるので、広く知らせたほうがいいと思う。
  • 入院中から使用できれば、常時使用するという意識ができる。
  • 成長するにしたがって、装用の位置が正しいのかが心配だった。
  • 手術後あまり間隔があきすぎないほうが、効果がありそうな感じがしました。
  • プロテクターが送られてきたとき、お手紙がそえられておりとてもうれしかったです。

    装着のイメージ

 

ご不明な点がございましたら遠慮なくお声かけください。

福島県立医科大学附属病院  心臓血管外科学講座

講師 若松大樹

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